一般的な事業再生は、企業が存続できるレベルに到達する(赤字から黒字への転換)ことを目的とするものです。ただし、昨今のように社会の変化が激しい環境下では、主力事業が将来的にも安定して売上をもたらす保証はありません。ましてや黒字すれすれの企業や赤字転落の恐れがある企業は、事業基盤の強化は企業存続の条件であり、このためには経営革新が必要となります。

弊社では、経営者の思いを重視した、今後の成長に向けての事業改革と公的支援活用による経営革新の実行を支援しています。
具体的な事業改革例
  • 売上・原価管理による業種・商品別の利益把握の仕組
  • 原価管理を容易・正確にする購買・在庫管理の仕組改善・構築
  • 品質向上、新技術・新商品の開発、生産形態の改善
  • 販売方式改善、商品のコストダウン、経費節減
  • 人事・給与制度ほか社内制度の改変
  • 他社との事業提携(生産・販売提携ほか)
これらの事業改革の活動が会社の事業基盤を強め、会社を成長に導きます。
社内の制度やシステムの再構築、事業提携による販路拡大、業態変更、新製品の開発、新規事業の開拓などは改善を超え大掛かりな経営改革となり、投資や開発費用にかなりの資金が必要となります。
経営革新に取り組む中小企業に対し、国は積極的に支援するため「中小企業新事業活動促進法」を定め、さまざまな支援を実施しており、これを活用することにより、経営革新の実現をスピードアップすることができます。
中小企業新事業活動促進法に基づく「経営革新計画の承認」の主なメリット
  • 信用保証協会の保証額の増額
  • 政府系金融機の低利融資
  • 税制上の優遇、その他
  • 都道府県による融資、その他の支援
(注) 上記支援策は経営革新計画の承認を受けると自動的に付与されるものではありません。金融機関や都道府県の支援機関に対し申請が必要であり、個別の融資や支援策を受ける場合に「経営革新計画の承認」が必要条件となるものです。
経営革新計画の概要と承認
同法に基づき、「中小企業(注)」が「経営革新計画」を作成し、都道府県の承認を得ることが必要です。
(注) 中小企業の範囲(どちらか一方の基準に該当すること)
業種 資本金 従業員数
製造・運輸・建設ほか 3億円以下 300人以下※1
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業※2 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
※1 ゴム製品製造業(タイヤ・工業用ベルト除く)は900人以下
※2 ソフトウエア・情報処理業は製造業に同じ、旅館業は従業員200人以下
農林業・漁業と風俗営業の一部は除外
経営革新計画の定義とポイント
経営革新計画とは、新事業活動により経営(利益)の相当の向上を図る計画を言います。
【新事業活動とは】
  • 新商品・新役務の開発・生産または提供
  • 商品・役務の新たな生産・販売または提供方式の導入
自社にとって「新事業活動」であれば、他社が既に実施しているものでもかまいません。
但し、同業者などで相当に普及しているものは認められません。
【経営の相当の向上とは】
  • 新事業活動の計画期間(3年〜5年)終了時における「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」が3年で9%以上、5年の場合は15%以上向上
  • 同様に「経常利益」が3年で3%以上、5年の場合は5%以上向上
上記2項目とも指標をクリアする経営計画の策定が必要です。
【経営革新計画作成のポイント】
  • 承認者(都道府県の役人)が納得するような、具体性のある計画書が必要ですが、新事業活動といっても新商品開発や新たなビジネスモデルの構築に限りません。現在の商品や生産形態・販売方式等に、自社の特徴を生かした工夫を加えることが、新事業活動と認められることも多いです。
  • 新商品、新役務の既存品・既存役務との相違・新規性はなにか
  • 商品・役務の生産・販売、提供に新たに導入する方式の新規性は
  • 新商品等の開発・生産・提供の実現性とその時期は
  • 計画実施に際し必要となる要員の充足度は
  • 対象とする具体的な顧客(ユーザー)は
  • 売上増加やコストダウンの具体的な根拠は、売上・利益計画の信ぴょう性は
  • 資金繰りと資金調達計画は妥当か
計画を実行し、「経営革新を何としてもやり遂げる」という経営者の強い信念が
あれば、計画は緻密・具体的なものとなります。