返済のため新たな借入れで何とか凌ぐ状況では、倒産という結末が目前です。事業再生は、借入先の担保に入れた不動産が競売されてから、事業の再建を図るのでは遅すぎです。【倒産が危惧されるなら即行動】が経営の鉄則です。
受注・売上や資金繰りにより、先行きに不安を感知したら行動が必要。よい方策が思い付かないことで時間が過ぎ、資金繰りは急速に悪化します。対応策が思い付かなければ、【専門家】に相談すべきです。
高利な金を借りずに資金繰りを改善しよう
事業再生では、まず資金の確保に一刻も早く着手すべきです。
現実に返済不能の事態が発生しないよう、前もって金融機関に新規借入あるいは返済条件の変更を依頼することが肝要。他の金融機関から【高利で借りて返済】するようなことは厳禁です。
借入先に依頼するには、
【先方が納得する事業再生計画および返済計画】を作成し、新規資金の借入あるいは一時的な猶予や返済期間の延長(1回の返済額の縮小)等の返済条件の変更について交渉をする
ことです。
担保不動産を守り事業を継続しよう
返済が滞り条件変更に金融機関の了解が得られないとき、不動産を担保にしている場合は、抵当不動産の任意売却(金融機関が競売に付す前に、第三者(不動産業者ほか)に金融機関の同意を得て担保不動産を売却し、その代金から返済をする)を行い、売却先からその不動産を賃借する(リースバック)ことで、事業の継続や自宅の存続を図ります。もちろん貸すことを条件に購入する業者に売却することが必要です。
多くの場合、営業利益が出ない状態が借入金の増加をもたらす根本原因です。具体的方策その1で「血を止められる」のは一時的です。銀行に提出する事業再生計画・返済計画が架空のものでは、銀行が納得するはずがありません。資金繰りに若干の余裕ができたからと安心しては、また返済不能の事態になることは目に見えています。根本原因が続く限り倒産の恐れは強まります。事業再生計画(事業再構築)を断固として実行する必要があります。事業の改革なくして資金繰りの改善もありません。
不採算事業・商品は縮小・撤退しよう
事業の再構築では不採算事業・商品の縮小・撤退を断行する必要があります。その事業や商品を継続・販売し続けることが、赤字の増加・借入金の増加をもたらすからです。少し前によく言われた選択と集中が必要であり、どの業種・製品・商品を不採算の対象とするか決定せねばなりません。
縮小・撤退に伴い不要の資産・在庫の処分をします。また長年の取引先や事業提携先との条件変更・取引の解消や営業所・店舗の整理も行わねばなりません。これらに伴い要員の余剰が生じることもあります。大変つらいことですが、場合によっては人的リストラも実施せねばなりません。
存続事業を見直し全力投球しよう
存続事業については、売上の向上、経費の削減が必須の事項であり、経営者は日常この課題に取り組んでいますが、違う角度・視点からの検討が必要であります。値引き競争の激しい昨今ですが、値引き競争に入る前に、付随するサービスや顧客の要請への迅速な対応などの日常の努力、販売方法の工夫、顧客開拓などの営業努力や、仕入れ先の見直し、コストダウンの推進など実施すべきことは多々あります。